2014年3月30日星期日
法人税パラドックス論の罠
<法人税パラドックス論の罠>
我々はそろそろ「設備投資を行う企業が成長企業だ」という昭和時代の発想を捨て去る必要がある。確かに、昭和時代の工業化社会では、成長企業は資本集約的な産業の中に多いと考えても差し支えなかった。しかし、脱工業化社会(知識社会)においては、高度なスキルを持った労働者を集約的に使う産業こそが、成長企業であるかもしれない。経済成長に資本蓄積が必要だという事実は変わらないが、その資本はもはや必ずしも物的資本ではなく、無形資本や人的資本というケースもあり得る。そうした意味で、様々なタイプの企業の資本蓄積に対し経済政策が中立であることは重要である。
内外から新たな参入を促すために、規制緩和を進めると同時に、法人税減税を進め資本収益率を高めるというのは、成長戦略の視点からは望ましい。とはいえ、やはり財源が制約となる。筆者は租税特別措置の廃止を財源にすることを主張してきたが、全廃しても1兆円に満たない。法人税の実効税率を1ポイント引き下げるには4900億円を要するが、それでは2ポイントの引き下げにとどまる。課税ベースを拡大するため、財務省は欠損金の繰越控除制度に制限を課すことを現在模索している。同制度による減収額は2兆円程度であるが、制度の妥当性を考えると、当然にして全廃すべきということにはならない。
「タオバオ代行からの情報」租税特別措置の廃止や欠損金の繰越控除制度の一部制限だけでなく、その他の課税ベース拡大を検討しても、2兆円も確保できないのではないか。租税特別措置の恩恵を受ける既存企業の大きな反発が予想されるが、それを抑え込むことに成功しても、実効税率の引き下げは最大で4ポイント程度ということになる。
しかし、それでは現在36%の日本の実効税率を、アジア諸国並みの20%台まで引き下げることができない。それを可能にするための理論として新たに持ち出されたのが「法人税パラドックス論」である。税率を引き下げれば、経済が活性化し、税収が増えるという主張なら、それは80年代初頭のレーガノミクスの理論的根拠となった「ラッファー・カーブ」と同じである。その帰結は明らかで、当時、税収は増えず、大幅な財政赤字だけが残った。当初、財政保守派からは、ブードゥー・エコノミクス(呪術経済学)の類いであろうと主張されていたが、やはり魔術は存在しなかった。
新たに現れた「法人税パラドックス論」の根拠となっているのは、前述した2000年代の欧州の経験である。2月20日に経済財政諮問会議で民間議員が提出した英独韓に関する分析では、税収増の要因として、1)経済成長による法人税収拡大、2)課税ベースの見直し、3)個人事業者の会社設立(法人成り)などが挙げられていた。特に一つ目については、規制緩和・規制改革とセットで税率引き下げを行うことが有効だということなのだろう。
しかし、そうした組み合わせが経済を活性化するとしても、減税にもかかわらず税収が増えるということが本当にあり得るのだろうか。筆者はやはり慎重である。データを見ると、欧州各国で税収が増えたのは07年までだ。その後の世界経済危機によって、税収は大きく落ち込んだ。もちろん、危機さえなければ、税収は増え続けたと主張することも可能ではあるが、ブームの崩壊と共に税収が大幅に減ったというのが真相ではないのか。
言うまでもないことだが、財政を考える上では、好況と不況を均(なら)して考えるという視点が極めて重要である。ブーム期だけを見れば財政収支は著しく改善し、慢心からブーム期に放漫財政に転じ、構造的財政収支を大幅に悪化させるというのが、これまでの先進各国の財政運営の教訓である。我々の目の前にあるのは「法人税パラドックス論」の罠ではないのか。
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